2010年6月22日火曜日

私の行き方考え方―わが半生の記録

松下幸之助著。

この本で最も参考になると感じたのは、
松下幸之助の説得の仕方である。

会社が発展していく過程で、一見無理、無謀にも思える行動もあった。
このようなときも、従業員や銀行を説得し、前に進んだ。

例として、ラジオの開発があげられる。
松下幸之助は専門の技術者がいないときでも、
壊れにくいラジオの開発を従業員に求めた。

従業員は、「理想的なラジオを直ちに造れというのは無理です。時間をください」
と言ったが、
松下幸之助は、
「研究部には、研究的便宜が十分備えられているのだし、ある程度のラジオは、
市場にたくさんあるのだから、これらを参考にして一歩すぐれたものを、
なにがなんでも短時間に作り上げねばならぬと決心すれば、
なんで工夫のできないことがあるものか。
必ず造れるという確信を持つか持たないかがそのポイントだ。
僕は、信ずる。きっと君らによって立派なものがなし得られると確信する。
だから断じてやりたまえ」
と激励した。

このような言動は、力強く、熱意がこもっている。
技術的な観点からの説得ではなく、
素人目だが客観的でわかりやすい理由で説得している。
また、従業員を信じていると述べたところからも、
従業員のやる気をおこさせたのだろう。
ラジオの開発を成功し、賞もいただいたとのことだ。

最後にもうひとつ、心の残ったところは、
松下幸之助は、従業員の長所を見る癖があったと述べている。
だから、自分は従業員に責任ある仕事や地位を任せることができたのだという。
見習いたい点だと思った。

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2010年6月13日日曜日

バスカヴィル家の犬

シャーロックホームズシリーズ。

本作品がシャーロックホームズシリーズ最高傑作と呼ぶ人は多い。

これは、
(1) 「緋色の研究」や「四つの署名」と比較したとき、時系列的に一直線であり、
(前述の二作品は回想部が非常に長い)
(2) ホームズが出し抜かれるところが描かれ、犯人の手ごわさ伝わることで、
作品が非常にわかりやすく、興味深くなっているからだと思う。

個人的にも、情景が非常に詳細に描かれている点や、
ホームズが出し抜かれる点は面白かったと思う。
一気に読みきった。

ただ、推理小説として、
あまりトリックというものはなく、
また、犯人をつかむヒントも無かったように思う点で少し残念である。

とはいっても、シリーズ久しぶりの長編を読み、やはり面白いなぁと思った。
短編ばかりでなく、長編もたくさんあればよいのだが、あと読んでいないのは、
「恐怖の谷」だけのようだ。

短編・長編すべて読み終え、ホームズに精通し、シャーロキアンとなっていたいと思う。


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2010年6月9日水曜日

俺の考え 愛蔵版―ブームをつくる経営の秘密

本田宗一郎著

松下幸之助と一緒の考えである点が多かった。具体的には以下の5点があげられる。
  • 従業員のアイディアを重要視している点
  • 時間を重要視する意識
  • 正直さ・ありのままを重視する点
  • 製品に対する適正価格と重んじる点
  • 日常は穏やかだが、仕事に対しては極めて厳しい。(偏見含む)
もちろん相違点もある:
需要に関して
  • 松下幸之助:社会の需要を汲み取り、製品開発しようとしている点
  • 本田宗一郎:需要(ブーム)を作り出そうとしている点
今後も偉大と言われる経営者の考えに接し、
どのような共通点や相違点があるかを見ていきたい。



ホンダは技術の天才と呼ばれる本田宗一郎と、
経営の天才と呼ばれる藤沢武夫の二人の活躍によって成長したと言われる。

よって、ホンダという会社の経営を学ぶならば、
藤沢武夫の書籍をみるのがいいように思う。
ただ、本田宗一郎の技術者として、まっすぐさ、情熱、を
この本から汲み取ることもできる。

たまに表現が明確でない箇所があったり、その論理展開はおかしいだろう、と感じるところがある。
よってAmazonの点数は高すぎだと思う。
まぁタイトル「おれの考え」が示すとおり、
思いついた内容が示されているので、
論理がつながっていない箇所が含まれていることも仕方がないのかもしれない。


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社員心得帖

松下幸之助著

本書は三部構成で、新入社員の心得、中堅社員の心得、幹部社員の心得、と成っており、
それぞれの立場にあった心得が用意されている。

確か、ある大手ゲーム会社に入社した方も読んでいるといっていた。

新入社員向けの心得の中に、
部長以上の身分になる秘訣として
「入社日に親への報告すること」という趣旨の章がある。
(詳細は本書に委ねたい)

自分は報告したかどうか忘れたが、
確かにそのような報告は大切だと思う。
私自身、確実に学生時代より親と話す機会が増えた。
そのように順次報告していく姿勢が徐々についてきたことをうれしく思うし、
今後もより一層親との連絡を密にしていきたいと思っている。

ほかに「仕事を続けて仕事の味を知る」とか、
「給与以上の仕事ができているか考える」といった、
考えさせられる内容が多数あった。

自分はまだまだ新入社員だが、中堅・幹部社員の心得に関しても
ためになることが多かったように思う。
だれかが言っていたが、
「よい部下になるには、
よい上司になるための本(うまく部下を使う本)を読んで、
その立場を裏返すのがよい」
ということだ。

この本も何度も繰り返して読むといいと思う。
一年に一度、4月に読む、というのも、
入社時の気持ちを思い出してよいかもしれない。

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道をひらく

松下幸之助著

私はまだまだやる気に満ち溢れているし、
業務上の大きな壁にはぶつかっていない。

しかし、今後実際の業務を行ううえで、
さまざまな壁にもあたり、心が沈むときもあると思う。
本書では、特に落ち込んだときや悩んだときに、
働く希望や動機を得て、自身を向上させるための心構えが書かれていたように思う。

まず心に残っているのは仕事に関する記述である。
仕事とは、「自分ができることというよりは、社会が求めているもの」である。
自分のやりたいことをさせてもらえない、という不満をよくあるが、
それは、社会の要請と、自分のやりたいことが一致していないからである。
自分がやりたいから、とか、できるから、といって、
強引に固執するのは自分勝手なことであり、
社会の要請に即したものである必要があるのだ。

次に印象に残っているのは、真剣勝負に関してだ。

『勝つこともあれば、負けることもあるなどと呑気なことをいってられない。
勝つかまけるかのどちらか一つ。負ければ命がとぶ。
真剣になるとはこんな姿をいうのである。
人生は、真剣勝負である。
だからどんな小さなことでも生命をかけて真剣に矢ならければならない』

全くそのとおりだと思う。
いつも命がけでやっていくことが大切だ。
自分はよく悪い意味で慣れることがあるが、
そんなことでは真剣勝負で負けてしまう。
かって生き残るために、「真剣勝負」を意識していく必要がある。

短編集ではあるが、
要所要所に非常に感銘をうける記述が多く、
楽しめた。

同期のかたは続編を買ったそうだ。
自分も続編も少し見てみたく感じた。

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2010年6月1日火曜日

シャーロック・ホームズの思い出

短編集。

シャーロックホームズが探偵になるのを決意した出来事から、最後の事件まで、
ホームズ自身の歴史を知ることができる。

「マスグレーヴ家の儀式」を初め、
非常に満足した。
疲れていても次々と読んでしまう中毒性を感じた。

あとがきで延原さんが「探偵小説には必ずしも殺人事件は必要ではない」、
と、いうように、
殺人事件が起こらなくても、事件、推理は非常に楽しめるものである。

「相手の立場に立って考えてみるんだ」というホームズの言葉を忘れずに、
自分も他人の立場に立った考え方をしていこうと思う。


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