松下幸之助著。
この本で最も参考になると感じたのは、
松下幸之助の説得の仕方である。
会社が発展していく過程で、一見無理、無謀にも思える行動もあった。
このようなときも、従業員や銀行を説得し、前に進んだ。
例として、ラジオの開発があげられる。
松下幸之助は専門の技術者がいないときでも、
壊れにくいラジオの開発を従業員に求めた。
従業員は、「理想的なラジオを直ちに造れというのは無理です。時間をください」
と言ったが、
松下幸之助は、
「研究部には、研究的便宜が十分備えられているのだし、ある程度のラジオは、
市場にたくさんあるのだから、これらを参考にして一歩すぐれたものを、
なにがなんでも短時間に作り上げねばならぬと決心すれば、
なんで工夫のできないことがあるものか。
必ず造れるという確信を持つか持たないかがそのポイントだ。
僕は、信ずる。きっと君らによって立派なものがなし得られると確信する。
だから断じてやりたまえ」
と激励した。
このような言動は、力強く、熱意がこもっている。
技術的な観点からの説得ではなく、
素人目だが客観的でわかりやすい理由で説得している。
また、従業員を信じていると述べたところからも、
従業員のやる気をおこさせたのだろう。
ラジオの開発を成功し、賞もいただいたとのことだ。
最後にもうひとつ、心の残ったところは、
松下幸之助は、従業員の長所を見る癖があったと述べている。
だから、自分は従業員に責任ある仕事や地位を任せることができたのだという。
見習いたい点だと思った。
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